ある静かな村に住む少女、花音は、毎晩同じ夢を見ていた。その夢の中では、自分が不思議な花園に立っており、周りを色とりどりの花々が囲んでいる。夢の花園はまるで絵本から飛び出してきたかのように美しく、決して枯れることのない生命力に満ちていた。しかし、どこか寂しげな旋律が常に花園を包み、少女はそのメロディーの出どころを探し続けていた。 ある夜、花音は再び夢の花園にたどり着くと、いつもとは違う一輪の花を見つけた。その花は薄暗がりの中でも光り輝いており、不思議な魅力を放っていた。近づいてみると、花から忘れられた旋律が聞こえてきたのだ。旋律は懐かしくもあり、しかし少女はそれがどこで聞いたものか思い出せなかった。 朝、目覚めた花音は夢のことが忘れられず、心に残る旋律をピアノで奏でてみた。すると、そのメロディーは村の古い伝承にある曲と酷似していることに気がついた。曲は昔、村を幸せに包んだと言われるが、いつしか忘れ去られたというものだった。 花音はひとりで調べを進め、ついに旋律が失われた真実を知る。そのメロディーは、村の守り神が住む花園の存在を人々に思い出させるためのものだったのだ。花音が夢の中で聞いた旋律は、守り神が失われたつながりを取り戻そうとする願いだった。 夢での体験を村人達と共有した花音は、皆と力を合わせて忘れられた旋律を甦らせることにした。やがて、メロディーが再び村中に響くと、かつてのように人々は幸せを感じ、夢の中の花園も現実の世界で美しく咲き誇り始めたのだった。夢中の花園とともに、忘れられた旋律が新たな希望とともに村を包み込む、そんな温かな絆の物語である。